歯の変色

ステインなどによる着色

原因

歯は、コーヒー、紅茶、お茶、赤ワイン、カレーなど、色の濃い飲食物を摂取することにより、着色してしまいます。

治療

歯科医院でクリーニングやエアフローを行うことで、ある程度の着色を落とすことができます。またクリーニング後にホワイトニングで白くする方法もあります。その後の予防方法としては、色の濃い飲食物を摂取した後に、お水で口をすすぐと色の付着量が減少します。なるべく色の濃い飲食物の摂取を控えることも有効です。

歯垢・歯石

原因

歯の根元に、歯垢や歯石がつくことで、黄ばみが出てきます。また、歯垢や歯石が歯の明るさに重要な要素である光を遮断してしまうことで、余計に歯が黄ばんで見えてしまいます。

治療

歯垢や歯石は、歯周病の原因の1つにもなります。歯石がついてしまったら、必ず除去することが大切です。歯周病にならないためにも、歯科医院で定期的にクリーニングを受けて、健康な歯を保ちましょう。

加齢

原因

歯の表面には半透明の「エナメル質」があり、その内側には「象牙質」という黄色い層があり、この「象牙質」が歯の色を左右しています。歯の象牙質は、元々、淡いクリーム色をしていますが、加齢により色が濃くなってしまうのです。

歯ぎしりや食いしばりによって、表面のエナメル質が少しずつ薄くなり、内側の象牙質の色が強く見えてくることでも、歯が茶色や黄ばんで見えてしまいます。他にも、過度なブラッシング圧、不正な歯並び、歯ぎしり、食いしばりにより、歯肉も痩せてきてしまい、やがて歯の根が露出して、色が濃く見える原因になります。

治療

加齢による象牙質の変色に対しては、クリーニングとホワイトニングを行い改善します。歯ぎしり、食いしばりによりエナメル質が削れている、または過度な力による歯肉への影響に対しては、マウスピースをして防ぎます。削れてしまったエナメル質は、コンポジットレジンやセラミックで修復します。歯肉の退縮に対しては、ご自身の厚い歯肉がある部位から移植する、または露出した根の面にコンポジットレジンで修復します。

虫歯

原因

虫歯には、C1(エナメル質まで虫歯が進行)、C2(象牙質まで進行)、C3(神経まで進行)、C4(根っこだけ残り根っこの下に膿がたまる)というように進行します。虫歯でも歯は変色していきます。

治療

まずは虫歯の治療を受けましょう。虫歯の進行具合で治療法は異なりますが、そのままにしておくと、虫歯は進行していく一方です。歯が黒い、茶色いと思ったら、まず歯科医院を受診して下さい。セラミックの歯などにすることで、自然な白い歯にすることが可能です。

神経を失っている歯

原因

虫歯が神経まで進んでいたり、何らかの原因で神経が死んでしまった歯は、象牙質の変色を起こし、歯が茶色やグレーがかった色に見えます。

治療

(1)根管治療(根の治療)
象牙質の変色を起こすほど神経まで進んでしまった虫歯は、根の先端まで虫歯菌が感染しています。必ず根管治療が必要となります。

(2)ウォーキングブリーチ
歯の内部にホワイトニング剤を入れ、象牙質の漂白をします。ウォーキングブリーチは、必ず根管治療をした後か、既に根管治療が終わっていて、虫歯が無いか、歯の内部の細菌感染を起こしていない場合に行う治療となります。

薬物の作用

原因

永久歯の象牙質ができる乳児から7歳くらいの間に、抗生剤の一種であるテトラサイクリンを服用した場合、象牙質に色素が沈着してしまい、歯の色が濃くなったり、グレーの帯状に変色してしまいます。現在では乳幼児、小児には禁忌とされています。

治療

(1)ホワイトニングをする

オフィスホワイトニングやホームホワイトニングがあり、ホワイトニングを行うことによって、テトラサイクリン変色歯が目立たなくなります。(効果には個人差があります)

(2)補綴物(被せ物)をいれる

ホワイトニングの効果に満足できなかった場合は、被せ物で修復します。オールセラミッククラウンは、変色を遮断し、透明性も再現できるため、第一選択となりますが、歯を削るデメリットがあるため、慎重に治療を選択する必要があります。

ホワイトスポット

原因

歯の表面にあるエナメル質が、酸によってカルシウム成分が失われしまい、歯の表面に白い斑点状の模様ができます。虫歯の初期症状とも言われており、進行すると穴が空いてしまうこともあります。進行しないでそのままの状態を保つこともありますが、色は白く残ってしまいます。

治療

虫歯を進行させないために、適切なブラッシングをマスターしましょう。また、フッ素(酸から歯が溶けないようにする)やリナメルペースト(エナメル質修復材)などの塗布をおすすめします。白い斑点状の模様ができたと感じた方は、まず歯科医院を受診しましょう。

エナメル質形成不全

原因

歯の表面にあるエナメル質の形成が不完全な状態であり、歯の色が、白や黄色や茶色に変色していることを言います。原因は様々で、乳歯のエナメル質形成不全の原因は、早産で生まれてきた子供(母体で得られる栄養が不足している)、妊娠中の母親の栄養失調、妊娠初期に母親が飲んでいた薬の影響などが関係しています。永久歯のエナメル質形成不全の原因は、乳歯の時に虫歯がひどく、歯の神経を失った、ぶつけたりして歯の根っこが折れてしまった等(永久歯の歯胚にダメージ)、過度のフッ素摂取(現在の日本には高濃度のフッ素は市販されていませんのでご安心ください)、乳幼児の栄養失調(永久歯は乳歯から生え変わる前にエナメル質を形成しています)などです。また、遺伝が原因でエナメル質形成不全になる場合もあります。(約1万人に1人)

治療

(1)フッ素塗布をする
軽度のエナメル質形成不全は治療をする必要はありませんが、定期的に歯科医院でフッ素塗布を行いましょう。
エナメル質形成不全のエナメル質は、バリア機能が不十分なため、酸から歯が溶けやすくなります。フッ素で予防しましょう。

(2)コンポジットレジンで修復する
重度のエナメル質形成不全の場合は、歯の表面に穴が空いていたり、通常の歯の形をしていないため、コンポジットレジンで修復し、補強していきます。
重度の具合にもよりますが、歯を削ってセラミックなどで被せ物をすることもあります。

(3)乳歯を虫歯にしない
乳歯は永久歯に比べて歯質が弱く、厚さも2分の1程しかありません。そのため酸からも溶けやすく、虫歯になるとすぐ神経まで進行してしまいます。
虫歯が神経まで進行すると、根っこの先端に感染し、埋まっている永久歯も感染を起こし、エナメル質形成不全となって生えてきてしまいます。
乳歯が虫歯になってしまったら、早期に処置を行いましょう。

(4)乳歯をぶつけない
乳歯をぶつけた外傷により根っこが折れ、感染を起こして永久歯に悪影響を及ぼすこともあります。
幼児期に、“ハイハイ”する事で得られる筋力が、早期に歩行させてしまう事で、本来必要な腕の力が無く、転んだ時に顔からぶつけてしまうなどの原因がある様です。

(5)妊娠中はしっかりと栄養をとる
生まれてくるお子様のためにもしっかりと栄養をとることが大切になります。

このように歯の着色、変色には様々な理由があります。気になったらすぐにかかりつけの歯科医院に診てもらいましょう。